「インプラント」とは、失ってしまった自分の歯の代わりに、人工の歯根を顎の骨の中に埋め込み、しっかりと顎の骨と固定した後、その上に人工の歯を作製して噛み合わせを回復する方法です。入れ歯のような不快感、不安定感もなく、見た目も自然な仕上がりです。失った歯を取り戻す治療としては、今日最も優れた治療の一つと言えるでしょう。
しかし、近年では十分な診査・診断をせずに適切な治療計画が立案されないまま、不適切なインプラント治療が横行しているように思われます。当グループでは、十分な診査・診断の上、まずその患者様にとって本当にインプラントが最適の治療であるかを考え、その上で一人一人の患者様のご希望に沿った治療計画を立案していくことが最も大切であると考えています。
インプラント治療の順序
1.審査と治療計画
X線写真・CTレントゲンや口腔内診査などインプラント治療に必要な審査を行い、その検査結果及び模型上での治療のゴールのシュミレーションをもとにして、治療計画を立案します。
2.治療と歯のクリーニング
必要と判断した場合、歯のクリーニングや歯周治療、むし歯の治療などを行います。
3.一次手術(インプラント埋入の手術)
-
1.奥歯が1本欠損した状態です
-
2.インプラントを埋め込むためのホールを顎の骨に形成します
-
3.インプラントを埋め込みます
-
4.インプラント上部にキャップを取り付けて歯肉で被います
4.治癒期間
一次手術後、インプラントが骨としっかり結合するのを待ちます。
上顎の場合4~6ヵ月、下顎の場合2~4ヵ月ほどの期間がかかります。この間に、治療期間を少しでも短くするため、他のむし歯などの治療を行います。
5.二次手術(インプラントの頭をだす手術)
-
インプラント上部を歯肉から露出させて、歯肉の治癒を促進するための専用キャップを取り付けます。この操作が二次手術と呼ばれています。
6.支台装着(アバットメント)の装着
-
歯肉が治癒したら、アバットメントと呼ばれる支台装置を取り付けます。この時点で、インプラントにサポートされた仮歯が入ります。
7.印象採得(型取り)
上部構造(人工歯)の型取りを行います。
8.上部構造(人工歯)の製作・装着
-
上部構造(人工歯・クラウン)を装着した状態です。見た目は天然歯とほとんど同じです。
9.メンテナンス
お口の中の状態によりますが、1~6ヵ月に一度メンテナンスにお越しいただきます。
インプラントの特徴
インプラントに使われるチタンは、アレルギーも少なく、かみ合わせに耐えられる強度があります。チタンと骨が結合するのでしっかりと固定することができ、治療後は違和感がないため、天然の歯と変わらないかみ合わせを実現できます。
また、残っている他の歯を削ったり、装置をつけたりすることもありません。他の歯に負担をかけずに治療ができるのです。
インプラント治療の注意点
インプラント治療は外科手術であるため、治療を受けるには全身の健康状態が良好である必要があります。また、治療期間は長く、保険適用外のため治療費は高額になりがちです。
治療の条件は、治療予定の場所に骨がしっかりとあることです。骨が足りないとインプラントを埋め込むことができないためです。骨が足りない場合は、骨移植手術を受ける必要があります。
治療後についても、毎日のケアが不十分であったり、定期的なメンテナンスを受けていないことで、インプラント周囲炎になる恐れがあります。インプラント周囲炎は、自然に治ることはないため、歯科医院で適切な処置を受けることが必要です。炎症が進行している場合は、インプラントを摘出する必要があったり、インプラントが突然抜け落ちてしまうことがあります。
インプラント治療によってこれらのような問題が起きないよう、正確な診断と定期的なメンテナンスが必要です。